みついし牛の歴史

みついし牛の夜明け

平成2年から町の和牛センターで黒毛和牛の肥育試験を開始し、当初はA4率が10%台と成績が低い状態でしたが、町和牛センターが肥育技術の指導マニュアルを作成して、平成4年から繁殖農家6戸が一貫肥育の取り組みを開始しました。平成6年から出荷に当たっては、東京食肉市場までの出荷輸送について和牛センター・肥育生産者との共同出荷(1車12頭単位)調整により輸送コストの削減を図りました。 また、取り組みした農家の肥育牛初出荷成績は、上物率71%と良い成績をあげました。肥育成績の向上により、肥育一貫経営に取り組む組合員が増加したことにより、肥育期間が28か月以上となるため、町と農協で相互に出資して無利子の繁殖経営肉用牛振興資金(昭和51年創設1戸当たり貸付限度1500万円3年据置5年償還)を肥育生産者が活用できるように拡大(肥育期間の肥育素牛購入代金を肥育販売時生産)するとともに、肥育にかかわる飼料代については、肥育組勘(有利子5年で一度完全清算)を設定して肥育販売時に飼料代を生産する方式を導入しました。
ブランド「みついし牛」
町の和牛センターを中心とする肥育技術指導により肥育農家は増加し、平成8年には東京食肉市場で「第1回みついし牛枝肉研究会」を開催しました。また、A4・A5等級の枝肉に「みついし牛」の印を押して市場上場することでブランドの確立を目指すとともに、市場出荷頭数の増頭に取り組みました。その結果、平成17年からは、東京食肉市場主催で、「みついし牛枝肉共励会」を開催していただくまでに肥育成績が向上しました。 平成9年からは、生産者の肥育頭数の増加から、補助事業により自家施工の廃電柱を活用した低コストの簡易牛舎建設を毎年実施しました。また、平成10年には、肥育データ等を基に繁殖素牛を保留奨励する町単独優良繁殖素牛確保対策事業を立ち上げ、繁殖素牛の資質向上に努めております。
みついしから全国へ
肥育牛出荷の増頭を図るため、平成10年頃からは、近隣農協の組合員も「みついし牛」の出荷に加わり、現在では、個人組合員以外でも浦河共同肥育センターや新冠町肥育センターが広域出荷を行っております。肥育牛の「みついし牛」は東京市場出荷の為、地元では蓬莱山まつり等の機会にしか町民に販売しておりませんでしたが、取扱希望もあり東京市場卸業者から部位購入のルートを作り、新たに「みついし牛」産地販売認証制度を設け、認証店で販売する事になりました。
認証店第1号「冬澤精肉店」
平成21年4月、三石本町の「冬澤精肉店」が認証制度による第1号の認証店となりました。また、PRパンフレット・のぼり等を作成し、愛媛県の大手チェーン店の北海道フェアーで「みついし牛」の販売に取り組みをしました。その後も、東京食肉市場への安定出荷体制の確立を図るとともに、肥育成績の向上により「みついし牛」の銘柄確保に向けた生産販売に取り組んでおります。
次世代を担う優秀な種雄牛
肉牛経営にとって、次世代を担う優秀な種雄牛の精液確保は非常に重要です。そのため、早期に各種雄牛の産肉能力を把握して精液を確保することが必要です。当組合では、肥育の取組により繁殖農家から新規種雄牛の生後10カ月齢を引き取って和牛センターが肥育する方法、並びに組合員肥育生産者の肥育取り組みにより新規種雄牛の肥育現場検定を随時行うことが可能となりました。その結果、肥育産肉結果を基に、早期に優秀な種雄牛を選定し、その牛の精液を和牛生産改良組合が団体でまとめて購入して保管管理を行い、将来の素牛生産に向けて優良精液の確保を行っております。