村本浩平さんのコラム~軽種馬品評会~【前編】

スポーツライターで、グリーンchの「馬産地通信」等でお馴染みの村本浩平さんに、三石軽種馬1歳馬育成管理品評会のコラムを執筆していただきました。

前編・後編の2回に分けて掲載します。

(村本浩平さんプロフィール)
大学在学中に「Numberスポーツノンフィクション新人賞」(文芸春秋・Number主催)のグランプリを受賞。その後、競走馬育成牧場勤務を経験し、生産・育成の現場での勤務経験を活かしたコラムなどを多数執筆し、現在も札幌市を拠点として、競馬・競走馬の現場のインサイドストーリーを中心とした記事を競馬雑誌やスポーツ紙などに寄稿されています。

それでは、前編をお楽しみください!




6月3日に開催された、第66回三石軽種馬1歳馬育成管理品評会に「審査員」として参加してきた。

「村本さん、品評会の審査員をやりませんか?」

と声をかけてくれたのは、三石軽種馬生産振興会の平野謙二会長。平野会長には、以前にはまなすホールで開催された「軽種馬講習会」でも講師として声をかけてもらい、人生初の講演を行わせてもらったのだが、それに続く大抜擢(笑)ともなった。

とはいっても、これまでの取材歴で一度も品評会に参加したことがなく、それでいながら「審査員」を務めるのは、出陳者の皆さんに対してあまりにも失礼に当たる。平野会長にはその辺の説明もした上で、

「ライターの視点から審査で何が行われているかを伝える」

との名目で、審査員を務めるJRA日高育成牧場の浮島理場長や、JBBA日本軽種馬協会静内種馬場の遊佐繁基場長、そして主催者や関係者の皆さんと同じバスに乗り込ませてもらった。

それまで筆者が品評会に対して思っていたイメージとは、セレクションセールで選考委員会が行っている「実馬検査」である。以前に取材先の牧場で見せてもらったことがあるのだが、実馬検査では様々な角度から馬体を観察するだけでなく、ウォーキングでは歩様のチェックも行われていった。その検査と同様の内容が筆者にできるかという不安もあったので、事前に用意したメモには血統背景や産駒成績と言った、こと細かなデータも書き記していった。

最初に訪れた牧場はコンサイニングを行うセールスプレップサービスだったが、バスの到着場所から、その後の展示まで実にスムーズに事が運んでいった。しかも浮島場長や遊佐場長のチェックは自分の想像以上に早く、メモを書き込んでいる暇が無いのではと思えた程の時間で、次の移動先となる土田農場へと向かっていく。そこでも出陳馬の出来の良さは勿論のこと、ほぼタイムスケジュール通りに進んでいった準備の良さにも驚かされた。

しかも、我々を乗せたバスもこんな抜け道があったのか、と思えるような道路を通って次の牧場へと向かっていく。この点に関しては共催を務めていたみついし農業協同組合と、三石軽種馬生産振興会が、効率よく回れるルートを作っていたからであり、そして今回で66回目を数えるノウハウが反映されているのを感じた。

それに加えて感心したのは敷地に入った時だけでなく、その周辺の美化も行われていた牧場が多かったことだった。展示場所も綺麗に整えられており、牧場の周囲の掃除刈りを行っている牧場もあった。これだけの準備ができているのならば、馬主や調教師といった来場者も気分良く馬を見てくれるに違いない。

後編につづく

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